電話での保証人の確認について
電話による確認だと効力が認められないということはありませんが、原則としては、直接保証人と面談すると考えた方がよいでしょう。
面談が困難な場合は、例外として、郵送による照会方法をとるとしても、電話のみによる確認については避けるべきで、あくまでも補助的手段と考えた方がよいと思われます。
保証契約について
保証契約は、債権者と保証人との間で締結される契約のことです。
ですから、両者にどのような債権債務があるのかということについて合意がなくてはなりません。
また、平成16年12月の民法改正で、保証契約は、書面でしなければ効力を生じないいうことになりましたので、保証契約は、合意だけでなく、合意を書面化することで成立することになります。
ただし、合意については、通常の契約の場合と同じですので、保証意思の確認手続きを経ることが必要なわけではありません。
保証契約の問題
保証は、次の点で特殊性があります。
■主債務者が存在する
■他人の債務を保証する
このような特殊性ゆえに、本来、債権者と保証人の間で締結されるはずの保証契約に、主債務者が代理人などの形で関与することが多々あります。
こうなると、保証人に保証契約の締結の事実や、具体的な保証債務の内容の認識がないというケースが起こりやすいのです。
また、保証人には保証債務の認識があったとしても、実際に保証債務を支払うことは予想していなかったということも多いです。
こういった場合は、請求された段階になってから、支払を拒むケースも発生しやすいです。
こういうのを「保証否認」といいますが、実際の現場では、非常に多く発生する紛争形態の一つになっています。
よって、こういった問題を未然に防ぐ、あるいは後日トラブルになった際に保証否認をさせないために、業者はしっかり保証意思の確認をするわけですね。
何しろ、保証否認をされて裁判になってしまった場合は、敗訴して回収不能になることもありますし、勝訴したとしても時間や労力には相当なものがありますから。
面談による意思確認について
保証意思の確認は、保証人と直接面談することが大原則になっていますが、これは、次のように行なわれます。
■本人確認書類等が要求され、面談の相手が保証人本人であるかどうかが確認されます。
・・・これは、他人によるなりすましを防止するために行なわれます。
↓
■保証契約書に保証人自身が署名捺印します。
・・・これは、後々、筆跡が異なることを理由とした保証否認がされないように行なわれます。
↓
■印鑑登録証明書の提出を求められ、それと契約書の印影とが照合されます。
・・・自己の印章でない押印であるという理由で保証否認がされないように行なわれます。
郵送による意思確認について
やむを得ない理由があって、直接面談できないような場合には、電話で照会した後、往復はがきで回答書が郵送され、回答書が返信され次第融資が実行されます。
この方法ですと、面前での自署でないために、筆跡が異なることを理由とした保証否認が防止できないので、業者にとってはややリスクがあります。
当然、融資を実行後に通知書等を郵送する方法では、保証否認防止には十分ではありません。
電話による意思確認について
例外的に電話による意思確認が行なわれる場合には、本人でなければ知りえないことを聴取するなどして、本人であることが確認されます。
また、「はい、はい」と答えられる質問だけでなく、本人が積極的に保証債務額を申告するような質問もされるでしょう。
こうした、電話照会の場合には、発信、受信の日時や対応者の名前、電話の内容等が、通常記録されています。 |