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契約書の間違えと捨て印

契約書の間違えと捨て印について

契約書の借入金額の間違えは、捨て印ではだめです。利用者の訂正印か、契約書の差換えで対応しなくてはなりません。

捨て印による対応について

捨て印とは、軽微なミスがあったときでも、改めて書類を再作成する手間を省き、その場で訂正できるようにするための便宜的な方法にすぎません。

この捨て印というものは、もともとは銀行などでの慣行からきています。

契約書に誤記や錯誤による記載があった場合を事前に想定して、契約書などの欄外に押印することによって、事務処理を迅速にできるようにしているのです。

また、登記所や公証役場などに文書を提出する際、公証人等の客観的な第三者から明らかな誤記等を指摘された場合にも、捨て印で対応しています。

このように、捨て印というのは、あくまでも契約中の軽微な事項や記入の訂正を債権者に委ねている事項等に利用されます。

ですから、契約書における借入金額等の重要な事項の誤記は、上記のような文字訂正の場合とは意味が違ってきます。

捨て印で契約書の重要事項の変更を行なった場合について

その場合には、それだけで当事者間でその重要事項の変更に関する合意があったとはみなされません。

業者の対応について

訂正事項が、貸金業規正法上の書面の交付規定に定められている記載事項の場合には、消費者金融などの業者は、変更後の内容について、再度記載書面を交付しないと違反になってしまいます。

ですから、そのような場合には、消費者金融などの業者は、債務者か保証人に連絡し、双方が立会いのうえで、同意を得て訂正印か契約書の再作成で対応し、その写しを交付することになります。

関連トピック
保証人と連帯保証人の違いについて

連帯保証は、保証と違い、補充性がないこと、履行請求の効果が主債務者にも及ぶこと、分別の利益がないことなどから、債権者にとっては保証より強力な人的担保になるのです。

保証について

保証とは、主債務者の債務を担保するために、保証人と債権者とで締結される保証契約によって生じる法律関係のことです。

保証契約については、平成16年12月の民法改正によって、書面でしなければ効力が生じないことになりました。

保証債務とは、この保証契約にもとづいて保証人が負う債務のことをいいます。この保証債務には、附従性、随伴性、補充性の3つの性質があります。

保証債務の性質について

附従性について
保証債務は、その成立・内容・消滅において、主債務に附従します。つまり、保証債務には、原則として、主債務がなければ成立せず、主債務より重くなることもない、また主債務が消滅すればそれに伴って消滅するという性質があるのです。

随伴性について
随伴性とは、主債務の債権者が債権譲渡などによって変更されると、保証債務も同じように譲受債権者に移転することをいいます。

補充制について
補充制とは、保証債務が二次的な債務にすぎないということです。補充制は、保証人が催告の抗弁権※1と検索の抗弁権※2の2つの抗弁権をもっています。

※1催告の抗弁権・・・まず、主債務者に請求せよという抗弁権のことです。
※2検索の抗弁権・・・まず、主債務者の財産に執行せよという抗弁権のことです。

保証と連帯保証の違いについて

連帯保証は、保証に比べて、補充制、連帯性、分別の利益という点で、連帯保証のほうが強力な人的担保になっています。

補充制
たとえ、上記の催告の抗弁権が行使されたとしても、債権者は単に主債務者に催告すればよいだけですので、一般的にはそれほど負担にはなりません。

しかしながら、保証人が検索の抗弁権を行使した場合には、債権者はわざわざ主債務者の財産に先に執行しなければならない場合がありますので、債権者にとってはかなりの負担になります。

よって、連帯保証によって、催告の抗弁権が排除できることは、債権者にとっては非常に有利なのです。

連帯性
連帯保証には、連帯債務の規定が準用されます。通常の場合、請求などの事由が、一人の連帯債務者に対して生じていたものが、他の連帯債務者にも効果が生じることになっています。

よって、債権者が連帯保証人に履行の請求をすれば、それは主債務者にも及ぶことになります。このことは、債権者が連帯保証人に対して請求することで、主債務者の消滅時効を中断することができることを意味しています。

他方、単独保証のほうですが、こちらは連帯性ではありませんので、債権者が保証人に請求しただけでは、主債務者の債務の時効は中断されません。主債務者の時効を中断させるためには、債権者は主債務者にも請求する必要があるのです。

こういう点からみても、連帯保証のほうが、債権者にとっては有利であることがわかると思います。

分別の利益
単純保証の場合に共同保証しているような場合は、各共同保証人の債務の額は、保証人の人数に応じて分割されます。

これは、債権者が各保証人に分割された保証債務の額までしか請求できないことを意味しています。

ということは、債権者は、とても煩雑な事務処理をしなければならないうえ、ある保証人が無資力になったときには、その分を他の保証人から回収できないことになります。

これが、連帯保証ですと、債権者は複数の連帯保証人の各人に対して、保証債務の全額の請求ができるのです。

これなら、保証人の数だけ無資力の危険を分散することができるわけですから、債権者にとってはとても有利です。

よって、債権者にとっては、単独保証で保証人が複数いる場合には、かえって不利になってしまいますが、連帯保証の場合には、保証人の数が多ければ多いほどそれが有利にはたらくことになるのです。

ちなみに、契約書上は、保証文言中に「本人と連帯して」という記載があれば、連帯保証とされます。


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